植物学にも造詣が深く何よりも自然を愛したガレの作品には、実に様々な植物がモティーフとして用いられています。
その多くは森や野原に自生している野生のものや、何処の家の庭にも見られるありふれた植物なのですが、そこに絵になる造形美を見出し、それを愛でる繊細な心がガレの作品を特徴づけていると言えましょう。
本品はガレの没後に作られたものと思われますが、彼のエスプリが色濃く残った自然派作品の秀作です。技術的には多層被せガラスにアシッドによるカメオ彫り（酸化腐食彫り）が施された作品です。
バラ色に染まった雲が浮かぶ夕焼け空を背景に、人が踏み潰してしまいそうな可憐な野の草花がシルエットで描かれた小宇宙。
何故か懐かしく、愛おしく、胸がキュンとなるような小品です。

【サイズ】　高さ:13.5cm　口径:9cm　幅(最大):8.9cm　奥行(最大):7.2cm【年代と国】　1906〜1914年　　フランス【サイン】　カメオでGallé【状態】　良好。